【源之丞】許すことは、以前の関係へ戻ることではない ~傷ついた自分を守りながら、苦しみを手放すために~

源之丞

「いつまでも怒っていないで、許してあげなさい」

家族や周囲から、そう言われたことはないだろうか?

言った側は、あなたを苦しみから解放したいのかもしれません。

しかし、深く傷ついた人にとって、

「許しなさい」

という言葉は、さらに自分の痛みを否定されたように感じることがあります。

家族なのだから。

相手も反省しているから。

時間が経ったから。

それだけで、傷が消えるわけではありません。

許せない自分を責めなくていい

相手を許せない気持ちがあると、

「自分は心が狭い」

「執念深い人間だ」

と、自分を責めてしまうことがあります。

しかし、怒りが残っているのは、その出来事があなたにとって大きなものだったからです。

信じていた人に裏切られた。

尊厳を傷つけられた。

助けてほしい時に見捨てられた。

その痛みを、無理に小さく扱う必要はありません。

まずは、

「私は、本当に傷ついていた」

と認めることが大切です。

許すことと、正当化することは違う

許すことは、

「相手は悪くなかった」

と思い込むことではありません。

傷つけられた事実をなかったことにすることでもありません。

また、以前と同じ距離へ戻る義務もありません。

謝罪を受け入れても、連絡を減らすことはできます。

家族であっても、会う回数や話す内容を限定できます。

自分の安全や心を守るために、関係を終える必要がある場合もあります。

許すかどうかと、これからどのような関係を選ぶかは、別に考えてよいのです。

相手のためではなく、自分のために手放す

相手への怒りを持ち続けていると、何年経っても、その人の言葉によって現在の感情が動かされます。

思い出すたびに苦しくなる。

別の人間関係でも、同じことが起きると恐れる。

相手は普段どおり暮らしているのに、自分だけが過去に縛られているように感じる。

その状態から少しずつ離れることは、相手を喜ばせるためではありません。

自分の時間と心を、自分のもとへ取り戻すためです。

すぐに「もう許した」と思えなくても構いません。

相手の行動を変えられないことを認め、自分がこれ以上傷つかない方法を選ぶ。

それも、苦しみを手放す一歩です。

謝罪がない場合もある

本当は、相手に自分の痛みを理解してほしい。

心から謝ってほしい。

そう願うのは自然なことです。

しかし、相手が自分の行動を認めない場合もあります。

何度伝えても、理解されないこともあります。

相手の謝罪を待ち続けなければ前へ進めないとすれば、自分の人生が相手の選択に左右され続けます。

伝えるべきことを伝えた後は、

「相手が理解するかどうか」

と、

「自分がこれからどう生きるか」

を分ける必要があります。

自分が安心できる距離を考える

関係を続けるか迷った時は、次のことを考えてみてください。

  • 相手は自分の行動を認めているか
  • 同じことを繰り返さないための変化があるか
  • 一緒にいる時、自分の安全や尊厳が守られるか
  • どの程度の距離なら落ち着いて関われるか
  • 関係を続けたいのは愛情からか、罪悪感からか

家族だからといって、何でも我慢する必要はありません。

親族との関係を大切にしながら、距離を調整することもできます。

許せないままでも、前へ進める

今すぐ許せないなら、無理に答えを出さなくても構いません。

怒りや悲しみを、信頼できる人に話す。

手紙へ書き、気持ちを整理する。

必要であれば、専門家へ相談する。

少しずつ、過去の出来事と現在の生活を分けていく。

ある日、許したと感じる人もいれば、最後まで許すという言葉が合わない人もいます。

大切なのは、許せたかどうかで自分の心を採点しないことです。

あなたが苦しみだけに支配されず、今の生活を大切にできるようになること。

そこへ向かう道は、一つではありません。

最後に

許すことを急がなくても構いません。

まずは、傷ついた自分を理解し、これ以上傷つかない距離を選んでください。

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